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川西屋酒造店の「丹沢山 阿波山田錦 麗峰」は食事との相性を考え抜いた理想の燗酒。

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川西屋酒造店の蔵元・露木雅一氏は、決して料理屋で飽きられることのない燗酒を目指して酒造りを行ってきた。昨今、流行りの華やかで爽やかな冷酒などではなく、何杯飲んだのかも忘れてしまうくらいに身体に馴染んでいく燗酒こそが理想の酒。昔は酒を銚子に注ぎ、燗をつけて飲むことが一般的な酒の嗜み方であったそうだ。しかしながら、時代の流れとともに燗酒は粗悪な酒を誤魔化すために温めて飲むものだという印象が付いてしまったという。その原因としては日本が終戦後に米不足に陥ってしまったことで、三倍増醸清酒と呼ばれるような水で薄めた酒が市場を埋め尽くしてしまい、その粗悪な酒を燗酒で飲んでいたことが、いつしか燗酒は悪い酒であるという印象に繋がってしまった。

また、高度経済成長期が終了したことで、ブルーカラーの職種の人々は減っていき、その代わりにホワイトカラーの職種の人々が増えていった。その結果として、日中の仕事で汗をかく人が減ったことで、居酒屋で注文される酒も甘さを感じる燗酒から甘さを感じない冷酒へと趣向が変わってしまった。やがて、淡麗辛口ブームが終わると、次に人々は大吟醸などのフルーティーな酒を追い求めるようになっていった。そして、燗酒は完全に忘れ去られた存在として不遇の時代を過ごすことになってしまう。

露木氏は燗酒こそが酒文化の本質であると信じて、食事との相性を考え抜いた地酒を追求することに重きを置いてきた。その考え方は1986年に家業を継いでから2025年まで変わることはなかった。今、流行っている酒は酒が主役で、単体で飲むことを前提として造られている。露木氏は「あくまでも酒は脇役で、料理の味わいを引き立てる酒が理想的」だと主張する。そして、料理と人の架け橋になることが日本酒の役割であると考えているそうだ。

川西屋酒造店で絶大な人気を誇る「丹沢山 阿波山田錦 麗峰」は1年半から最長で3年間、タンクで丁寧に熟成をかける。そうすることで、円熟味を増幅させて優しく柔らかな味わいに仕上げることができるという。この酒等の人気ぶりは凄く、「丹沢山 秀峰 純米酒」「丹沢山 吟醸造り 純米酒」などをあわせて蔵全体の製造石数の半数を占めるという。また、勤続年数25年目の米山工場長も「麗峰」は燗して初めて完成する酒であると太鼓判を押す。

この酒は突出した味や香りはないものの、「麗峰」は開栓してからぐんぐん味わいが上がってくる不思議な酒だ。酒蔵のある場所が小田原に近いためか魚との相性も良く、特に鮨との相性は抜群だ。これこそが川西屋酒造店の目指す酒の姿でもある。これからもブレることなく、心から旨いと唸る酒だけを愚直に追求していく。

丹沢山麓の山北町は神奈川県の西部に位置し、足柄上郡に属する町である。町内には1978年に完成した丹沢湖が広がる。丹沢湖は1978年に西丹沢の酒匂川水系の河内川に造られた三保ダムによって誕生した人造湖である。丹沢湖には玄倉川、世附川、中川川の三つの支流から水が流れ込む。山北町の総人口は8961人で山梨県と静岡県との境に接し、面積は224.70㎞2で神奈川県の自治体の中では横浜市や相模原市に次ぐ3番目の広さとなっている。町域の大半は丹沢山地であり、丹沢大山国定公園にも指定されている。町のほぼ中央には丹沢湖があり、キャンプやハイキングなどの行楽、観光のために、のべ人数にして年間約150万人以上が訪れている。

文:宍戸涼太郎

写真:石井叡

編集:宍戸涼太郎

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