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愛知の新星・我山

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鶴見酒造が蔵を構える愛知県津島市は愛知県の西部に位置する市として名古屋市より西に7キロメートルに位置しており、名古屋市のベットタウンとなっている。歴史を振り返ると、鎌倉時代には木曽三川を渡って尾張と伊勢を結ぶ要衝「津島湊」として発展した。水郷地帯という地の利を活かして、毛織物などの産業が盛んとなり、戦国時代の尾張武将「織田信長」の時代には「信長の台所」と称される尾張の華やかな商都であった。また、500年余り続いてきた織田信長や豊臣秀吉も愛したとされる尾張津島天王祭。全国天王信仰の中心地である「津島神社」の鳥居前町として、一時は尾張一豊かな町として知られた。その後は、織田信定が当地を押さえて、信長までの織田氏3代の経済基盤が築かれた。

鶴見酒造の創業は1873年で、染物業を営んでいた初代・貞造が酒造業を興したのが始まりである。津島で伝統的な製法を受け継ぎ、製造における手造りによる利点を活かしながら、近代的な品質管理と巧みに調和させていくことで、米の旨味を充分に活かしたコクのある上質な日本酒を醸す。

また、鶴見酒造の杜氏である長谷川元輝氏はデータと手造りのバランスを常に心掛けているという。昔ながらの「杜氏の勘」に頼る酒造りではなく、蔵人全員が米の吸水作業や麹や醪のように常に温度が変動していくような作業工程も、一定の室温に保たれた空間でリアルタイムにデータを確認していくことで、杜氏が不在の状況でも円滑に酒造りができるマニュアルやシステムを構築した。多くのデータを頭に入れながらも、手作業で米に触れることで「五感とデータ」の調和を重要視した酒造りは、蔵人の労力を削減させることにも繋がり、その結果として人にしかできない作業工程をより丁寧に集中して行えるようになったそうだ。長谷川杜氏は酒造りの無駄を徹底的に省いていくことが、酒質の向上に繋がるという理念で現場を牽引する。

代表銘柄の「我山 純米大吟醸 磨き三割五分」は希少な「兵庫県産特A山田錦」を全量使用した精米歩合35パーセントの高価な日本酒だ。それが故に消費者からは、より厳しい眼差しが向けられる。納得感のある日本酒が鶴見酒造の至上命題である。

鶴見酒造では2022年に四季醸造を念頭に置いた新醸造蔵を建設。衛生管理と温度管理が徹底された空間のなかで、定性定量を意識した酒造りが高品質な日本酒を製造することにも繋がっている。その結果として消費者からの評判は新醸造蔵が完成する前と比較しても格段に良くなっている。これから新生「我山」は酒米の王様「山田錦」を使用し、雑味の無い、芳醇な香りと繊細な味わいの日本酒を追求していく。愛知の地酒といえば「我山」と呼ばれることを目標に津島から頂点を目指す。

文:宍戸涼太郎

写真:茶畑七月

編集:宍戸涼太郎

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