日本酒の名醸地「兵庫」で伝統と創造をコンセプトにした酒造りを“泉酒造”

赤道を越えても劣化しない「KOBE WATER」の産地“六甲山”

六甲山の景観

兵庫県の南東部東灘区に位置する日本三名山の一つ「六甲山」は、雨風を伴う自然災害にも耐える強度を持つ花こう岩から形成されている山です。六甲山では山に降った雨が長い年月をかけ花コウ岩を通るため、花コウ岩の削れた砂利や塊を通して、水が濾過されます。

また、花コウ岩は削れていくと磨きがかかった「御影石」となり、より濾過がしやすくなる為、水質も向上します。

この御影石で濾過される水が常時流れている六甲山は、全国的にも有数の名硬水であり、日本酒造りに適している宮水の水脈も担っています。その他にも六甲山の布引渓流や宇治川など多くの川の主水源や、兵庫県を代表する天然のミネラルウォーター「KOBE WATER」として、1983年からはハウス食品と商品企画を行い、「六甲のおいしい水」として多くの人に親しまれてきました。

灘五郷の一つ「御影郷」で酒造りを始めた“泉酒造”

兵庫県有馬郡道場村で酒造りを行っている泉酒造は、初代泉仙介氏が1756年(宝暦6年)に酒造業を創業したことがきっかけです。

19世紀になった1844年(天保15年)に、三代目泉仙介氏が、酒造りのオアシスである灘五郷の一つ「御影郷」に醸造場所を移転させ、より地の利を生かした酒造りを御影郷の地で発展させていきました。

旧銘柄「泉正宗」

御影郷の水源でもある六甲山系の霊峰一王山の地下深くを通ることで、最適な水質と清水の水量が、泉のごとく尽きることのないという意味合いから、「泉正宗」という銘柄で兵庫を始めとする多くの飲み手を魅了していました。

先代の敬意と天災を乗り越え誕生したブランド「仙介」

泉酒造営業部の永井正明氏

「泉正宗」も地に根づき、灘のなかでも愛されていた泉酒造でしたが、1995年に近畿各地で多くの被害を引き起こした阪神・淡路大震災によって、仕込みに使用していたタンクなどの道具や、機材が場ごと倒壊してしまったため、御影郷での酒造りは一時断念し、親戚の酒蔵で約10年以上酒造りを行っていました。

泉酒造の代表銘柄「仙介」

しかし、当時の若手チームの蔵人や蔵の再建中に他界された七代目泉仙介氏の娘である泉藍氏が、「先代から継承してきた御影灘で酒造りを再建し、多くの方たちに喜んでいただけるような美酒を醸したい」という七代目仙介氏の夢を叶えたいと強く思い、2007年に再建した御影郷で酒造りをリスタートしました。

そして、その年からラベルと名前を一新させ、「先代の七代目仙介氏に敬意を込めて、泉酒造の伝統と革新を体現するお酒」という想いを込めて、「仙介」という名前の美酒を醸し続けています。

3種類のユーモアなうさぎラベルが特徴

ポップなうさぎラベルがついつい手に取りたいと思わせます

泉酒造に中でも一際目を引くラベルが特徴の「仙介 特別純米 白麹 無濾過生原酒」は、日本酒造りの行程の一つ「製麹」で使用する黄色麹を、焼酎などでよく使用される酸が出やすい白麹に変えて醸造しています。

そうすることで、白麹が作り出すクエン酸がグレープフルーツを思わせる爽やかで甘酸っぱい味わいを引き出し、泉酒造の綺麗な酒質を醸す技術が混ざり合うことで、日本酒を飲んだことのない人でもスイスイ美味しく飲めてしまう美酒となっています。

ほのやかなガス感もあるため、夏の暑い日にキンキンに冷やして飲むのもオススメです。食中酒として、ポテトサラダやタルタルソースをかけた牛カツとのマリアージュは格別です。

兵庫県産の米を使用することで地に還元することが地酒の役割

泉酒造では、兵庫県の契約農家の方たちに栽培してもらっている山田錦と五百万石の酒的好適米を全量使用し、こだわりの日本酒を醸しています。兵庫県が日本酒の原料宝庫であるからこそ、地のものを使い地に還元し、兵庫県地酒の魅力、ブランド、地域発展につなげていくことができるといいます。

山田錦の穂

また、兵庫県は特A地区(六甲山の北側に所在し、極上の酒米が収穫できるエリア)の農家だけでなく、原料宝庫だからこそ競争が激しい業界に踏み入れ鍛錬している農家の方たちの酒米も積極的に導入しています。生産者同士で、兵庫県を象徴する地のモノを創り、一緒に兵庫県を盛り上げていくことが生産者の役割だと語ってくれました。

仕込みは少量仕込みにすることで、工程一つ一つの細部まで細かく調整が出来、造りの質を向上させて品質管理を第一に考えています。その証拠に、蔵の工程の一部である「蒸米を放冷する」に使用するライン機械も鉄製ではなく、鉄製よりも機械のサビに強いステンレス製にする等、細部にまでこだわることで、できるだけ米の雑味や渋味を抑えた綺麗で透き通ったお酒を醸すことを実現しています。

泉酒造杜氏の和気卓司氏

和気卓司氏は、熊本工業大学を卒業後に1996年に日本酒業界に入り、現在まで23年もの経歴を持つ40代の期待のホープとして業界から一目を置かれています。

泉酒造杜氏の和気卓司氏が入社したのは2008年です。最初は丹波杜氏で地方から来ていた渡辺俊男氏、先代の娘さんの泉藍氏と手を取り合って酒造りを行ってきました。2年後の2010年に杜氏の波部氏が高齢のため引退となり、その年の造りが始まる10月から和気さんが泉酒造の杜氏として引き継ぎました。

和気氏は、「ワインのような爽やかでジューシーな美酒を醸して、人々の日常生活に親しまれるような存在でありたい」と語ってくれました。

住所:兵庫県神戸市東灘区御影塚町1丁目9-6

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