“史上最年少の蔵元”に迫る

天領盃酒造蔵元の加登仙一氏

新潟県の佐渡島。そこである25歳の若者が酒蔵の蔵元になった。名前は加登仙一氏。千葉県成田市の出身であり、法政大学国際文化学部にも在籍していた。千葉県の成田市は、成田国際空港などの国際的な価値観にもありふれているため、外国人の姿も多くみられる。そのためか、加登氏は小さい頃から外国語を学ぶ機会や、外国人とも触れる機会が多かったそう。ある時、漠然と国内だけでなく、海外にも目を向けたいという思いが膨れ、大学2年生の時にスイスに所在しているSt.Gallen universityに1年間留学を決め、趣味のブレイクダンスを通じて、スイスだけでなく、様々な国の留学生と触れていったそう。そこで、他の国の留学生は、自分の国の情勢、政治、文化に精通しているのが当たり前という現実にぶち当たり、一方自分自身は何も日本のことを知らないことに気づかされたとのこと。海外ばかりではなく、自国の文化を奥深く知ることから、世界は広がると考え、日本の政治、文化、歴史を探求していった中で、特に興味を惹かれたのが、「日本酒」だったとのこと。世界でも見ることがない“糖化”と“アルコール発酵”が同時に行われる並行複発酵で行われる「日本酒」の発酵方法にとても興味を抱いたそう。しかし、そんな興味のある「日本酒」の年間の消費量はだんだんと下がっている傾向に疑問を抱き、現状を調べていくうちに、新規の清酒製造免許は取得条件が高い規定で設定されており、現実的に新規で造ることは不可能であることに気づかされる。しかし、加登氏は「日本酒という業界を盛り上げられる仕事がしたい」という思いを諦めきれないことから、独立するため財務を学びながら、数多くの経営者の知恵を借り、営業力を見につけていくために、三菱UFJモルガンスタンレー証券に入社したとのこと。

天領盃酒造の景観(正面)

その1年半後の2017年の8月に、名古屋の取引先の方から、「佐渡市にある“天領盃酒造”が経営の譲渡を考えている」という情報を聞き酒蔵を何回も訪問し、“天領盃酒造”の経営難の現状を見ていった中で、“自分が酒蔵を経営し、杜氏の方や蔵人との酒造りの見直しを考えていきたい”という思いが伝わり、2018年3月に酒蔵の蔵元となった。現在では、酒造りにも携わり、今年の新酒、そして天領盃酒造の新たなスタートとして、「純米吟醸 しぼりたて生原酒」「純米吟醸 にごり生酒」2種類の日本酒を醸し終えたばかりである。

1980年代から続く“天領盃酒造”伝統的な醸造技術”

醪の発酵の様子

人が全て醸造工程の中で関わってきた日本酒の醸造において、あえて“天領盃酒造”は、麹作りをコンピューター管理し、蔵人が主役ではなく、麹菌や酵母が主役であり、その微生物たちが最大限活動しやすい環境を蔵人が用意することに徹底している。また、「なるべく人が関わらず、最良のクリーンな環境下で酒を醸す。」をテーマに、麹菌や酵母が発酵しやすい環境作りには、余計な雑菌が入らないようにするために、人と機械ごとの特性を生かせる分業のやり方にも徹底している。

スッキリとした甘さと酸味でキレる日本酒“天領盃”

仕込み水は、佐渡の金北山の雪解け水を使い、透き通った軟水による酒造りを実現させている。また、その雪解け水が、仕込み水になるまでは約40年かかるとされ、水に対しても自然の天然水にこだわりを持っている。天領盃で出している「天領盃 純米吟醸」は、スッキリとした芯の中にも、やわらかな甘みと酸味を感じる酒質の日本酒である。佐渡島では、暖流の対馬海流が流れる関係で、カツオやブリなどが獲れるため、魚料理とのマリアージュも楽しめる。蔵元の加登氏は、「徐々に酸も強調した味わいが特徴のお酒も醸したい」と語っていた。

住所:新潟県佐渡市加茂歌代458

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